これから葬儀は増えるのか:人口動態と将来推計から
死亡数は2040年ごろまで増える見込み。件数と売上の違い、火葬場・身寄りのない方への備えを整理
人口動態と将来推計から、葬儀の件数が今後どう動くかを、確かな数字と読み方の注意つきで整理します(2026年10月時点)。
この記事で分かること
- 死亡数の実績と、国の将来推計(いつまで増えるか)
- 「死亡数=葬儀件数」ではない理由
- 火葬場・人手・身寄りのない方への対応など、業者が備えたい点
1. 死亡数の実績と将来推計
| 年 | 年間死亡数 | 出典・区分 |
|---|---|---|
| 2024年 | 1,605,378人 | 人口動態統計(実績・日本人) |
| 2025年 | 1,589,489人 | 同(概数)。5年ぶりの減少 |
| 2025年 | 約152.5万人 | 社人研の推計(総人口ベース) |
| 2030年 | 約159.6万人 | 同 |
| 2035年 | 約164.5万人 | 同 |
| 2040年 | 約166.5万人(ピーク) | 同 |
| 2044年 | 約164.9万人 | 同(ピーク後はゆるやかに減少) |
社人研の推計同士で比べると、2025年から2040年までに年間死亡数は約14万人増え、増加率は約9%(152.5万人→166.5万人)です。2030年までは約5%、2035年までは約8%の増加です。
2. 「死亡数が増える=葬儀が増える」とは限らない
- 件数は死亡数にほぼ連動します(火葬率は99.97%=令和4年度)。ただし、直葬など「葬儀をしない火葬」も件数に含まれます。
- 単価・売上は別です。小規模化(家族葬・一日葬・直葬)が進めば、件数が増えても売上は伸びにくくなります。ただし、形式別の割合の公的統計は確認できていません。自社の取扱データで確かめるのが確実です。
- 75歳以上が死亡の8割以上。参列者が高齢で、会葬者の少ない葬儀が増えやすい構造です(一般にいわれる傾向で、公的データでの裏づけは未確認)。
3. 業者が備えたいこと
(1) 火葬場の混雑と日程
東京都の試算では、現在の火葬実績のままだと、火葬の需要が供給を上回り、2035年頃103.7%、2040年頃106.6%、2050年頃111.7%になるとされています。地域差が大きいため、自社の商圏の火葬場の稼働と待ち日数を把握し、安置の長期化(ドライアイス、安置施設、追加料金の説明)に備えます。
(2) 身寄りのない方・一人暮らしの方
自宅で亡くなった一人暮らしの方は2025年に76,941人(警察庁)。単独世帯は2050年に44.3%の見込みです。喪主がいない、費用を払う人が決まらない、といった場面に備え、自治体・福祉・司法書士など外部との連携先を決めておくと安心です。国は事業者向けの指針(高齢者等終身サポート事業者ガイドライン、2024年6月)を示しています。
(3) 料金の透明性
国民生活センターの葬儀相談は2025年度917件で、高い料金・追加料金の相談が5割超です。消費者庁は、安さをうたう広告を措置命令の対象にしています。広告の価格に含まれるもの・含まれないものを、見積書と同じ言葉で書くことが信頼と法令遵守の両方につながります(見積を分かりやすく出す)。
(4) 葬儀のあとの相談
墓じまい(改葬)は平成26年度の約8.4万件から令和6年度の約17.6万件へ約2倍。相続登記の義務化(2024年4月施行)もあり、葬儀後の手続き・墓・相続の相談が増えています。遺族に渡せる手続きの順番の資料があると喜ばれます。
4. 数字の読み方のまとめ
- 2040年ごろまで死亡数は増える見込み。増加率は推計上、2025年比でおよそ9%。
- その先は、ゆるやかな減少。人口減少は続くため、長期では件数も減る点に注意。
- 売上は「件数×単価」。単価に効く小規模化の程度は、公的統計では確認できないため、自社の実績で見る。
全体の動向は最近の葬儀の動向、最新ニュースはニュースをご覧ください。