この記事の要点
- 事実と違う説明や、大事な不利益を言わずに結ばせた契約は、消費者契約法で取り消されることがある。
- キャンセル料は「平均的な損害」を超える部分が無効になる。
- 葬式の役務は、訪問販売でもクーリング・オフの規定が適用されない(特定商取引法の適用除外)。ただし書面交付などの扱いは場面で違う。
- 互助会(前払いで積み立てる契約)は割賦販売法の許可制。
相談の半分以上は料金のこと
国民生活センターは、トラブルの一因として、葬儀社の説明や消費者の理解の不足、死別の直後で冷静に対応しにくいことを挙げています。業界団体には「サービス内容を詳しく説明し、見積書を渡して正確な請求金額を伝える」ことなどを要望しました。
出典:国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル」(2026年6月3日公表)
消費者契約法で問題になる説明・勧誘
| 条文 | 内容(要約) | 葬儀の場面での例(注意したい言動) |
|---|---|---|
| 第4条第1項第1号 | 重要事項について事実と違うことを告げる(不実告知)→取り消せる | 「このプランで全部込みです」と言ったが、実際は火葬料・安置料が別だった |
| 第4条第2項 | 利益になることだけ告げ、不利益な事実を故意または重大な過失で告げない→取り消せる | 割安な点だけを説明し、日数で増える費用を言わなかった |
| 第4条第3項 | 帰ってほしいと言われても退去しない、帰りたいのに帰らせないなど→取り消せる | 自宅での打ち合わせで「帰ってほしい」と言われたのに、居座って契約をせまる |
| 第9条第1項第1号 | 解約時の損害賠償・違約金の定めのうち、同種の契約で生じる「平均的な損害」を超える部分は無効 | 準備前の解約でも一律に高額のキャンセル料を取る定め |
| 第10条 | 消費者の利益を一方的に害する条項は無効 | どんな事情でも返金しないという条項 |
出典:e-Gov法令検索「消費者契約法」(2026年10月31日確認)
特定商取引法とクーリング・オフ
- 営業所以外の場所(ご自宅など)で契約すると、特定商取引法の「訪問販売」にあたりうる(第2条第1項)。訪問販売では、原則として書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができる(第9条)。
- ただし、「葬式のための祭壇の貸与その他の便益の提供」は、契約後すぐに提供されないと受ける人の利益を著しく害するおそれがある役務として政令で定められ、クーリング・オフ(第9条)の規定が適用されない(第26条第4項第2号、同法施行令第15条第4号)。
- また、消費者が自分から「自宅で契約したいので来てほしい」と求めた場合などは、訪問販売の規定(第4条〜第10条)が適用されない(第26条第6項第1号)。
クーリング・オフが使えない場面でも、消費者契約法の取消し・無効の規定は別に働きます。「特定商取引法が適用されないから説明しなくてよい」ということにはなりません。
出典:e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」(2026年10月31日確認)、同「特定商取引に関する法律施行令」(2026年10月31日確認)
互助会(前払いの契約)は割賦販売法
葬式のための祭壇の貸与などの役務について、提供の前に、代金を2か月以上にわたり3回以上に分けて受け取る取引は「前払式特定取引」にあたり(割賦販売法 第2条第6項、同法施行令第1条第4項・別表第二)、経済産業大臣の許可を受けた者でなければ業として営めません(同法 第35条の3の61。年間の取引額が政令で定める額に満たない場合などを除く)。
出典:e-Gov法令検索「割賦販売法」(2026年10月31日確認)、同「割賦販売法施行令」(2026年10月31日確認)
契約の前に確かめること
- 見積書(明細つき)を、依頼の前に書面で渡したか
- プランに含まれないもの・日数や人数で増える費用を説明したか
- キャンセル料の決まり(時期ごとの額と、その根拠)を説明したか
- 打ち合わせにご親族など複数の方に同席していただいたか
- 「今日決めなくても大丈夫です」と伝え、急がせていないか
- 説明した内容・了承を得た変更を記録に残したか
この記事は制度の概要です。個別の広告・契約・事案が法律に触れるかどうかは、弁護士等の専門家や所管の行政機関に確認してください。
- 葬儀の契約はクーリング・オフできないのですか?
- 特定商取引法のクーリング・オフ(第9条)は、葬式のための祭壇の貸与などの役務には適用されないと定められています。ただし、事実と違う説明があった場合などの取消し(消費者契約法)は別です。
- キャンセル料はいくらまでなら取れますか?
- 一律の上限はありません。同じ種類の契約の解約で事業者に生じる「平均的な損害」を超える部分は無効になります。時期ごとの準備の実費をもとに決め、説明を求められたら根拠の概要を説明できるようにしておきます(消費者契約法第9条第2項は説明の努力義務を定めています)。
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