この記事の要点
- 埋葬・火葬を行う人がいない・分からないときは、死亡地の市町村長が行う(墓地、埋葬等に関する法律 第9条)。
- 葬祭を行う人がいて、困窮などの条件にあたるときは、生活保護法の葬祭扶助が使える(第18条)。
- 自治体から葬儀社へ、遺体の引き取り・保管を頼まれる場面が増えている。
一人で亡くなる方が増えている
総務省の調査では、引取者のない死亡人は、平成30年4月から令和3年10月末までの3年7か月で105,773件でした。どの法律で扱われたかを見ると、9割近くが生活保護法(葬祭扶助)です。
出典:警察庁「令和6年中における警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者について」、警察庁 自宅で死亡した一人暮らしの者(令和7年・都道府県別)、総務省「『遺留金等に関する実態調査』の結果に基づく勧告(概要)」(2023年3月28日)
どの法律で、誰が行うか
- 連絡警察・病院から自治体へ親族に連絡がつかないと、自治体に連絡が入ることが多い。身元が分かるか、生活保護を受けていたか、葬祭を行う人がいるかで分かれる。
- 葬祭を行う人がいる生活保護法の葬祭扶助困窮のため最低限度の生活を維持できない人、または被保護者が亡くなり葬祭を行う扶養義務者がいない場合などに、葬祭を行う人の申請で、検案・死体の運搬・火葬または埋葬・納骨などの費用が扶助される(第18条)。
- 葬祭を行う人がいない墓埋法・行旅法で市町村長が火葬身元が分かれば墓地、埋葬等に関する法律 第9条、身元不明などは行旅病人及行旅死亡人取扱法 第7条により、死亡地(所在地)の市町村が火葬・埋葬する。
- 費用遺留金品をあてる費用はまず遺留の金銭・有価証券をあて、足りなければ相続人、さらに扶養義務者の負担(行旅法第11条。墓埋法第9条第2項で準用)。それでも足りない分は自治体が負担する。
- 残ったとき相続財産清算人・供託なお遺留金が残るときは、家庭裁判所による相続財産清算人の選任や、法務局への弁済供託で処理することが考えられる。
出典:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」(2026年10月31日確認)、同「生活保護法」(2026年10月31日確認)、同「行旅病人及行旅死亡人取扱法」(2026年10月31日確認)、厚生労働省・法務省「身寄りのない方が亡くなられた場合の遺留金等の取扱いの手引(改訂版)」(令和3年3月、令和7年7月第2次改訂)
手引は、これらの事務は自治事務なので、市町村が定める手続きがあればそれに従うとしています。葬祭扶助の申請の時期・方法、支給の範囲は、福祉事務所に確かめてください。また、手引によれば、葬祭扶助費に遺留金品をあてられるのは、第18条第2項の場合に限られます。
葬儀社に求められること
手引にまとめられた自治体への調査では、病院・施設で亡くなり親族に連絡がつかないとき、自治体から葬儀事業者に遺体の引き取りを依頼する例が多いとされています。一方で、保管の手順が示されておらず、温度・湿度の管理が不十分なまま保管が長引くと遺体の状態が悪くなる、保管には費用がかかる、という課題も挙げられています。保管が長くなりそうな遺体を扱う葬儀事業者に、冷蔵保管の設備を条件にしている自治体もあります。
- 自治体の担当部署(福祉・保健・市民課など)と連絡先を、地域ごとに把握している
- 葬祭扶助で行う場合の内容・費用の範囲を、福祉事務所と事前に確かめる手順がある
- 冷蔵安置の設備と、保管が長引いたときの記録・報告の方法を決めている
- 遺留品(現金・通帳・鍵など)を受け取ったときの受け渡し記録を残す
- 引き取り手のない遺骨を預かる場合の期間・方法を、自治体と取り決めている
国は、身寄りのない高齢者の死後の手続きを支える事業者向けに「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(2024年6月)を示しています。生前に契約した方が亡くなったときの連携先を確かめておくと安心です。出典:関係省庁「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(2024年6月)
- 葬祭扶助の金額はいくらですか?
- 基準額は国の告示で地域(級地)・大人小人の別に決まっています。この記事では最新の額を一次資料で確かめられていないため載せていません。地域の福祉事務所に確認してください。
- 亡くなった方の預金から火葬費用を払えますか?
- 葬祭扶助や墓地埋葬法・行旅法で自治体が火葬した場合、自治体が遺留金を費用にあてる手続きとして、金融機関に払い戻しを依頼する様式案が手引に載っています。葬儀社が直接引き出すものではありません。
この記事は制度の概要です。個別の広告・契約・事案が法律に触れるかどうかは、弁護士等の専門家や所管の行政機関に確認してください。
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