この記事の要点
- 他人の求めに応じて有償で貨物を運ぶ事業は、一般貨物自動車運送事業として国土交通大臣の許可が要る。遺体の運送は「霊きゅう」に限った区分で行われている。
- 国土交通省の「標準霊きゅう運送約款」では、運送を引き受ける前に項目ごとの試算を示すことになっている。
- 感染症で亡くなった方の遺体は、移動が制限されることがある。
法律の区分
| 区分 | 内容(要約) | 手続き |
|---|---|---|
| 一般貨物自動車運送事業 | 他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車・二輪を除く)で貨物を運ぶ事業(第2条第2項) | 国土交通大臣の許可(第3条) |
| 貨物軽自動車運送事業 | 三輪以上の軽自動車・二輪の自動車で、他人の需要に応じ有償で運ぶ事業(第2条第4項) | 国土交通大臣への届出(第36条) |
出典:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法」(2026年10月31日確認)
国土交通省が告示する「標準霊きゅう運送約款」は、その事業を「一般貨物自動車運送事業(霊きゅう自動車を使用して遺体を運送する事業(これに附帯するものを含む。)に限る。)」としています。自社の寝台車・霊柩車で搬送する場合、どの許可・届出が要るかは、事業の形(有償か、誰と契約するか、車両の種類)で変わります。所轄の運輸支局に確認してください。
標準霊きゅう運送約款のおもな決まり
- 申込み運送申込書依頼人の氏名・住所、出発地・到着地、運賃・料金の支払いなどを記載(第7条)。個人の依頼人などは一部の記載を省ける。
- 引受けの前項目ごとの試算を示す運送と、柩の調達・遺体の収納・保管などの附帯業務の運賃・料金を、項目ごとに試算して依頼人に示す。書面での提示を求められたら応じる(第18条)。
- 運賃・料金届け出た額を収受国土交通大臣に届け出るべき運賃・料金を収受し、個人向けの運賃・料金は営業所の店頭に掲示する(ウェブサイトにも掲載する)(第17条)。
- 中止のとき中止手数料依頼人の指図で中止した場合、搬入予定日の前日までの中止なら請求しない。それ以外は、基本額・乗車定員加算額・特殊仕様車料金の合計の5割(第22条)。
- 附帯業務実費を説明して収受附帯業務は、実際に要した費用をその都度説明したうえで収受する(第38条)。
出典:国土交通省「標準霊きゅう運送約款」(平成18年国土交通省告示第1047号、最終改正 令和7年国土交通省告示第193号)(2026年10月31日確認)
一般貨物自動車運送事業者は運送約款を定めて国土交通大臣の認可を受ける必要があり、標準運送約款と同じ約款を定めたときは認可を受けたものとみなされます(貨物自動車運送事業法 第10条)。自社がどの約款を使っているかを、スタッフ全員が知っておくと、ご遺族への説明がぶれません。
搬送のときの注意
- 搬送の料金(距離・時間帯・待機)を、引受けの前に伝える
- 病院・施設から受け取る書類(死亡診断書など)の受け渡し者を確かめる
- 感染症の病原体に汚染された(疑いを含む)遺体は、都道府県知事が移動を制限・禁止できる(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 第30条第1項)。医療機関・保健所の指示に従う
- 搬送中のドライアイスは、車内の換気に気を配る
- 委託先(霊柩運送事業者)の許可の有無を、契約の前に確かめる
出典:e-Gov法令検索「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(2026年10月31日確認)
葬儀社と霊柩運送事業者の取引
公正取引委員会の調査(2017年3月公表)では、霊柩運送の取引の16.2%で、葬儀業者から優越的地位の濫用にあたりうる行為を受けたとの回答がありました。委託する側の注意は関連業者との取引の注意にまとめています。
この記事は制度の概要です。個別の広告・契約・事案が法律に触れるかどうかは、弁護士等の専門家や所管の行政機関に確認してください。
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