時宗・融通念仏宗・黄檗宗など、その他の仏教宗派の葬儀
時宗・融通念仏宗・黄檗宗など、その他の仏教宗派の葬儀について、特徴と見分け方、共通する注意点をわかりやすく整理します。参考にしてください。
その他の仏教宗派とは
日本の仏教宗派は、ここまでで取り上げた宗派のほかにも、各地の寺院や信者に支えられて続いてきたものが多くあります。この記事では、時宗・融通念仏宗・黄檗宗を中心に、特徴と注意点をまとめます。宗派ごとの人数や寺院数が少ないほど、情報が少なく、確認が重要になります。
時宗
鎌倉時代に一遍上人が開いた宗派で、神奈川の清浄光寺(遊行寺)が本山とされます。念仏を重んじ、「南無阿弥陀仏」を称える教えで、踊り念仏で知られます。ご本尊は阿弥陀如来です。戒名にあたる名に、「阿弥陀仏」にちなむ「○阿弥陀仏」「○阿」の形の号を用いることが特徴とされます(総本山では代々の遊行上人が「他阿」の号を名のります)。付け方は寺院により異なります。葬儀の形は、浄土系の宗派と共通する点も多いとされます。
融通念仏宗
平安時代に良忍上人が開いたとされる宗派で、大阪の大念仏寺が総本山とされます。一人の念仏が万人の念仏と通じ合うという教えが特徴です。総本山の本尊は十一尊天得如来(阿弥陀如来と十菩薩の絵像)とされています。葬儀や法要の形は寺院によって異なるため、事前の確認が大切です。
黄檗宗
江戸時代に隠元禅師が中国から伝えた禅宗の宗派で、京都・宇治の萬福寺が大本山です。萬福寺の公式サイトでは、お経を唐音(中国語を基本とした読み)で読み、法要では鐘や太鼓などの鳴らし物を合わせると紹介されています。葬儀の作法の細部は寺院により異なるため、確認が必要です。
奈良・京都の諸宗など
華厳宗・法相宗・律宗・聖徳宗など、奈良時代からの宗派は、寺院単位で信仰を集めていて、一般の家庭の菩提寺になっている例は多くありません。そのほか、浄土宗系の別の派、修験道(山伏)、独自の教団など、多様な形があります。作法は、宗派名だけでなく寺院の住職に確認するのが確実です。
共通する葬儀の進め方
| 項目 | 一般的な目安 |
|---|---|
| 式の流れ | 枕経・通夜・葬儀(引導)・火葬・初七日と、他の仏式に近いことが多い |
| 焼香 | 1回〜3回など、寺院の案内に従う |
| 数珠 | 手持ちのもので問題ないことが多い |
| 香典の表書き | 宗派・寺院により異なるため確認する。迷うときは「御香典」「御香料」が無難 |
| 故人の呼び名 | 戒名・法名・号など、宗派により異なる |
香典の表書きは、香典の表書き早見表もご覧ください。
参列者が戸惑いやすい点
- 聞き慣れない読経(唐音など)や念仏の節回し。
- 焼香の回数や、数珠の持ち方。周囲の動きに合わせて問題ないと考えられます。
- 「ご冥福」「御霊前」などの言葉の扱いが宗派で異なること。
葬儀業者が気をつけたい点
- 宗派名を聞いて、知らない・自信がない場合は、住職に作法・準備物を電話で確認する。
- 本尊や仏具、位牌の要否を確認する。
- 家の宗派と、実際に付き合いのある寺院の宗派が違うこともあるので、確認する。
- 宗派の確認方法は宗派の見分け方、宗派確認の聞き方もご覧ください。
宗派名がわからない・珍しい宗派のとき
家の宗派が珍しい宗派であるほど、一般的な情報だけでは足りません。次の流れで確認すると安心です。まず、菩提寺の住職に、葬儀の流れ・必要な物(位牌や掛け軸など)・服装・焼香の作法を尋ねます。次に、その内容を、葬儀社のスタッフと共有します。式の途中の動きや、参列者への案内の言葉まで確認しておくと、当日の混乱が少なくなります。わからないことを正直に伝えて教えてもらう姿勢は、寺院にも歓迎されることが多いとされます。
ご案内の基本姿勢
宗派にかかわらず、遺族の不安は、「作法を間違えないか」「失礼にならないか」という点にあることが多いものです。葬儀社は、司会の案内で、焼香の回数、合掌の方法、起立・着席の合図を伝えるだけで、参列者の戸惑いが大きく減ります。宗派の特徴を、遺族・参列者に説明しすぎず、僧侶の指示を優先して、静かに進めることが基本です。