日本の葬儀と宗教・宗派の全体像
日本の葬儀は仏式が多数ですが、神道・キリスト教・無宗教もあります。宗派の違いと見分け方の入口を、やさしく整理して紹介します。
日本の葬儀と宗教
日本の葬儀は、一般に仏式(仏教の形式)で行われることが多いとされています。そのほかに、神道の神葬祭、キリスト教の葬儀(カトリック・プロテスタント)、特定の宗教によらない無宗教葬などがあります。同じ仏式でも、宗派によって読むお経、焼香の回数、故人の呼び名(戒名・法名など)が変わります。
ただし、宗派の決まりがそのまま全員に当てはまるとは限りません。同じ宗派でも、寺院や地域、家ごとの習わしで細かい点が違うのはよくあることです。この記事は「入口」として、全体像と見分け方をまとめます。
主な宗教・宗派の早見
| 区分 | 主な宗派・形式 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 仏式(浄土系) | 浄土真宗本願寺派・真宗大谷派・浄土宗・時宗など | 本願寺派、大谷派、浄土宗 |
| 仏式(禅系) | 曹洞宗・臨済宗・黄檗宗 | 曹洞宗、臨済宗 |
| 仏式(密教系) | 真言宗・天台宗 | 真言宗、天台宗 |
| 仏式(法華系) | 日蓮宗など | 日蓮宗 |
| 神道 | 神葬祭 | 神道 |
| キリスト教 | カトリック・プロテスタント | カトリック、プロテスタント |
| その他 | 創価学会(友人葬)・無宗教葬 | 創価学会、無宗教葬 |
仏式の中での大きな違い
- 故人の呼び名:戒名(かいみょう)と呼ぶ宗派が多い一方、浄土真宗では法名、日蓮宗では法号と呼ぶことがあります。詳しくは戒名・法名・院号とお布施の考え方をご覧ください。
- 焼香:回数や、香を額に押しいただくかどうかが宗派で異なります。焼香の作法も参考になります。
- 香典の表書き:浄土真宗では「御仏前」を使うなど、宗教ごとに違いがあります。香典の表書き早見表で整理しています。
- 位牌:浄土真宗では位牌を用いないことが多いなど、用意する物も変わります。
宗派の見分け方(入口)
ご家族が「うちの宗派がわからない」と言うことは珍しくありません。多くの場合、次の順で確かめると見当がつきます。
- 菩提寺(お付き合いのあるお寺)があるか、ご家族・ご親戚に聞く。
- 仏壇の本尊(中心に祀られている仏像や掛け軸)や、位牌・法名軸の有無を見る。
- お墓の形や、墓石に刻まれた文字を見る。
- 過去の法事の案内状や、お寺からの書類を探す。
詳しい手順は宗派の見分け方で説明しています。
一般の方へ
菩提寺がある場合は、葬儀社に連絡する前後を問わず、早めにお寺へ連絡するのが一般的です。お寺に断りなく別の僧侶を呼ぶと、納骨などで行き違いが起きることがあります。宗派が不明でも、葬儀社に率直に伝えれば、確かめ方を一緒に考えてくれます。用語は用語集、参列時の心得は参列マナーもご覧ください。
葬儀業者の方へ
最初の打ち合わせで宗教・宗派と菩提寺の有無を確認することが、その後の祭壇・仏具・僧侶手配のすべてに関わります。聞き方の例は葬儀業者向け:宗派確認の聞き方と準備物チェックリストに、宗派ごとの基礎は宗派ごとの作法と道具の基礎にまとめています。
宗教が違っても共通する流れ
宗教・宗派が違っても、葬儀の大きな流れには共通点があります。臨終のあと、ご遺体を安置し、納棺し、通夜、葬儀・告別式、火葬、収骨と進み、その後に節目の法要や祭、追悼の集いが続きます。日本ではほとんどの場合、火葬が行われます。変わるのは、それぞれの場面の「呼び名」「中身」「使う言葉や道具」です。たとえば仏式の通夜は、神道では通夜祭、プロテスタントでは前夜式と呼ばれます。まず共通の流れを押さえてから、宗教ごとの違いを見ていくと、全体が理解しやすくなります。
また、葬儀を営む場所は、寺院・神社・教会・葬儀会館・自宅などさまざまで、宗教者の手配のしかたも違います。宗教者への連絡や謝礼は、遺族が直接行う場合と、葬儀社が窓口になる場合があるため、最初に確認しておくと行き違いを防げます。