葬儀費用は誰が払う? 相続税ではどう扱う?
喪主・施主、預貯金が凍結されたときの仮払い、相続税で差し引ける葬儀費用とできない費用、葬祭費・埋葬料の請求をまとめます。
この記事で分かること
- 葬儀費用を払う人の決め方と、預貯金が凍結されたときの仮払い制度
- 相続税の計算で差し引ける費用・差し引けない費用
- 香典の扱いと、葬祭費・埋葬料の請求
喪主・施主・費用の負担者
喪主は葬儀全体を代表する人、施主は費用を負担して葬儀を行う人を指すのが一般的です。同じ人がなることも多いのですが、法律で決まっているわけではありません。誰が払うかは、ご家族で話し合って決めます。たとえば、喪主が一旦立て替えて、あとで遺産から精算する方法もあります。
預貯金が凍結されたら
銀行が口座の持ち主の死亡を知ると、その口座からの引き出しは止まります。葬儀費用を払うために、遺産分割が終わる前でも、一部を引き出せる制度があります(民法の改正で2019年7月1日に開始。法務省)。
- 引き出せる額の計算式:相続開始時の預貯金額 × 3分の1 × その人の法定相続分
- 同じ金融機関からは、150万円まで(法務省令で定めた上限)
- 他の相続人の同意は要りません。
くわしくは 預貯金の解約・名義変更と仮払い制度 をご覧ください。なお、払戻しを受けると、相続放棄に影響することがあります。放棄を考えている方は、先に 相続放棄と限定承認 を読んでください。
相続税で差し引ける葬儀費用
相続税がかかる場合、葬式にかかった費用は、遺産の額から差し引くことができます(債務控除。国税庁タックスアンサーNo.4129)。ただし、すべての費用が対象になるわけではありません。
| 差し引ける(控除できる) | 差し引けない |
|---|---|
| 火葬・埋葬・納骨の費用 | 香典返しの費用 |
| 遺体や遺骨の運搬費用 | 墓石や墓地の購入費用、墓地を借りる費用 |
| 通夜など、葬式の前後に通常必要な費用 | 初七日など法事の費用 |
| お寺への読経料などのお礼 |
この控除は、一定の相続人または包括受遺者が負担した場合が対象です。誰が負担したかが後で問われることがあるので、領収書の宛名や支払った人を整理しておきましょう。
領収書は必ず取っておく
- 葬儀社、火葬場、お寺、運搬など、すべての領収書・請求書を保管する。
- お寺へのお布施など領収書が出にくいものは、日付・金額・相手をメモに残す。
- 相続税の申告をしない場合でも、遺産分割のときの精算に使えます。
香典は?
香典は、葬儀を行う遺族への贈り物と考えられており、一般的には相続税の課税対象にはなりません。また、葬式費用の計算で香典を差し引く必要もありません(要確認:金額が社会通念上ふさわしい範囲かどうかなど、個別の事情は税理士へ)。
葬祭費・埋葬料を請求する
| 加入していた保険 | 給付 | 申請期限の目安 |
|---|---|---|
| 協会けんぽ・健康保険組合など | 埋葬料(協会けんぽは5万円) | 死亡した日の翌日から2年 |
| 国民健康保険・後期高齢者医療 | 葬祭費(額は市区町村ごとに違う) | 葬儀を行った日から2年が目安 |
立て替えたときの精算
喪主などが費用を立て替えた場合は、のちの遺産分割協議で、立て替えた額を遺産から先に精算する旨を決めておくと、もめにくくなります。協議書に「葬儀費用は〇〇が負担した」と書いておくと、相続税の債務控除の確認にも役立ちます。
次にやること
- 前の記事:葬儀社を決めるまでの順番(当日〜翌日)
- 次の記事:葬儀が終わったら:手続き期限別チェックリスト
- 費用の目安は 葬儀費用 も参考に。