相続税を減らす制度:配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例・生命保険等の非課税
配偶者の税額軽減(1億6千万円または法定相続分)、小規模宅地等の特例、生命保険金の非課税の要件・限度・注意点を説明します。
この記事で分かること
- 配偶者の税額軽減の限度と要件
- 小規模宅地等の特例の面積・減額割合と、自宅の要件
- 生命保険金の非課税枠と、「申告しないと使えない」点
配偶者の税額軽減
配偶者が実際に取得した遺産が、次のいずれか大きいほうの金額までは、配偶者に相続税がかかりません(国税庁No.4158)。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
- 申告が必要:税額が0になっても、申告書を出さないと使えません。
- 対象は、実際に取得した財産。遺産分割が済んでいない財産は、原則として対象外です。
- 申告期限までに分割できないときは、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えます。3年以内に分割できれば、更正の請求で軽減を受けられます(分割後4か月以内に請求)。
- 書類は、戸籍謄本、遺産分割協議書の写し、相続人全員の印鑑証明書などです。
小規模宅地等の特例
故人の自宅の敷地や事業用の土地は、一定の面積まで評価額が減ります(国税庁No.4124)。
| 区分 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等(自宅) | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等(事業) | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等(貸付) | 200㎡ | 50% |
自宅の敷地が対象になる人
- 配偶者:取得者ごとの要件はありません。
- 同居していた親族:相続の直前から申告期限まで、その家に住み続け、土地を申告期限まで持っていること。
- それ以外の親族:故人に配偶者や同居の相続人がなく、かつ、相続前3年以内に自分や配偶者などの持ち家に住んでいない、など、いくつかの要件をすべて満たす必要があります(いわゆる「家なき子」)。
計算例
前提:自宅の敷地200㎡、評価額5,000万円。配偶者が取得し、特定居住用宅地等に当たる。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 対象面積 | 200㎡ ≦ 330㎡ | 全部が対象 |
| 減額される額 | 5,000万円×80% | 4,000万円 |
| 特例適用後の評価額 | 5,000万円−4,000万円 | 1,000万円 |
- 申告が必要:特例を受ける旨を記載し、計算明細書や遺産分割協議書の写しなどを添付します。
- 相続人が複数いるときは、特例の対象とする土地を選ぶのに、全員の同意が必要です。
- 申告期限までに分割されていることが原則です。未分割だと使えません(あとで分割できれば、原則3年以内に更正の請求ができます。No.4208)。
生命保険金・死亡退職金の非課税
相続人が受け取る死亡保険金・死亡退職金は、それぞれ「500万円×法定相続人の数」までが非課税です(国税庁No.4108)。
例:法定相続人が3人なら、500万円×3=1,500万円まで非課税。保険金が2,000万円なら、課税されるのは500万円です。
- 相続放棄をした人が受け取った保険金には、この非課税は使えません。
- 相続人以外(内縁の人など)が受け取った保険金にも、使えません。
この3つの制度は、基礎控除以下に見える場合でも、申告しないと使えません。特例を使う前提で税額が0になる場合も、申告が必要です。ご家族の事情で要件の判断が分かれるので、税理士へ確認してください。
特例を使うときの考え方
配偶者の税額軽減を最大限に使うと、そのとき(一次相続)の税額は小さくなりますが、のちに配偶者が亡くなったとき(二次相続)、子の税額が大きくなることがあります。小規模宅地等の特例も、誰が自宅を取得するかで使えるかどうかが変わります。一次と二次の合計で考えるのがよいとされます。
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