この記事の要点
- 税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士、登記や裁判所への書類は司法書士、法律事件の代理・和解などは弁護士、官公署へ出す書類や権利義務の書類は行政書士の仕事です。
- 資格のない人がこれらを行うと、罰則のある法律違反になることがあります。
- 制度の一般的な紹介、窓口の案内、国税庁などの公開資料を渡すことは、一般に問題ありません。
- 「あなたの場合は〜円です」「この書類を作っておきます」は専門家の領域です。
士業の仕事の範囲
| 資格 | 仕事の範囲(条文) | 資格のない人への制限 |
|---|---|---|
| 税理士 | 税務代理、税務書類の作成、税務相談(税理士法 第2条) | 税理士または税理士法人でない者は、税理士業務を行ってはならない(第52条)。違反は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第59条第1項第4号) |
| 司法書士 | 登記・供託の手続きの代理、法務局や裁判所に出す書類の作成、その相談(司法書士法 第3条) | 司法書士・司法書士法人でない者は、第3条第1項第1号〜第5号の業務を行ってはならない(第73条第1項) |
| 弁護士 | 法律事件に関する代理、和解、鑑定などの法律事務 | 弁護士・弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で、法律事件の鑑定・代理・仲裁・和解などの法律事務を取り扱い、またはこれらを周旋することを業としてはならない(弁護士法 第72条)。違反は2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(第77条) |
| 行政書士 | 官公署に提出する書類、権利義務・事実証明に関する書類の作成(行政書士法 第1条の3) | 行政書士・行政書士法人でない者は、他人の依頼を受け報酬を得て、業としてこれらの業務を行えない(第19条第1項) |
出典:e-Gov法令検索「税理士法」、同「司法書士法」、同「弁護士法」、同「行政書士法」(いずれも2026年11月1日確認)
税理士法第2条の「税務相談」は、申告や申告書の作成に関し、課税標準等の計算に関する事項について相談に応じることなどを指します。業務の範囲の細かい線引きは、事案によって判断が分かれます。迷うときは、必ず専門家か所管の機関に確認してください。
言ってよいこと・いけないこと
言ってよい(一般的な案内)
- 「相続税には基礎控除があり、遺産の合計が基礎控除以下なら申告は原則いりません」
- 「申告の期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です」
- 「葬式費用の一部は、相続税の計算で遺産から差し引けると、国税庁が案内しています」
- 「相続放棄には3か月の期限があります。弁護士か司法書士にご相談ください」
- 「相続登記は、3年以内の申請が義務になりました。司法書士が専門です」
- 国税庁・法務省・市区町村の公開資料を渡す
言ってはいけない・してはいけない
- 「あなたの場合、相続税は〇〇円になります」と税額を計算して伝える
- 「この財産なら申告しなくて大丈夫です」と申告の要否を断言する
- 「うちで遺産分割協議書を作ります」「登記の書類をお作りします」
- 「相続放棄しなくても大丈夫です」「相続人はあなた一人です」と法律関係を断言する
- 相続人どうしの争いに入って、交渉・和解の仲立ちをする
- 税務署への申告や、金融機関での相続手続きを、報酬をもらって代行する
グレーになりやすい場面
- 書類「ついでに作ってあげる」遺産分割協議書や、各種の申請書を善意で作る行為。報酬がなくても、専門家の領域に踏み込むおそれがある。
- 相談「この場合はこうしたほうが得」節税や分け方の助言。個別の税務相談・法律相談にあたるおそれがある。
- 費用「相続手続き一式」の代行プラン葬儀の費用に、士業の仕事を含めた名目で料金を取る行為は避ける。手続きは、士業の契約として別に結ぶ。
- 紹介紹介料のやり取り弁護士法第72条は、周旋を業とすることを禁じ、第27条は弁護士が違反者から事件の周旋を受けることを禁じている。紹介料の受け取りは約束しない。
注意「報酬がなければ問題ない」とは限りません。税理士法第52条の条文には、報酬を得ることという条件が書かれていません。無償でも該当し得ると考えて、迷う場合は専門家に確認してください。
社内ルールにしておくこと
- 相続・税金・登記・遺言の質問への答え方を、全スタッフで統一する(この記事とトークスクリプトを使う)
- 「あなたの場合は」で始まる断言をしない。必ず「一般には」「専門家に確認を」を添える
- 書類の作成や代行を、断る言い方を決めておく
- 士業を紹介するときは、複数の窓口を案内し、特定の事務所を強く勧めない
- 紹介料・謝礼のやり取りは、約束しない(士業の側にも規制があります)
- 案内した内容・渡した資料を記録する
よくある質問
- お客様から「手続きの書類の書き方を教えて」と言われたら?
- 書式の見本や、役所・法務局の案内ページを紹介するのは差し支えありません。書類の中身を代わりに書く・決めることは避け、専門家を案内します。
- お客様に頼まれて、役所への死亡届を出すのは問題ありませんか?
- 死亡届の使者としての提出は、葬儀社の通常の業務として一般的に行われています。扱いは市区町村の窓口に確認してください(遺族への最初の対応)。
- 士業の資格を持つスタッフが社内にいる場合は?
- その人が、自分の資格に基づく業務として、葬儀社とは別の契約で受けるなら可能な場合があります。会社の看板と混同されないよう、契約と費用は分けて、弁護士会・税理士会などに確認してください。
次に読むもの
- 前の記事:状況別の早見表
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この記事は、条文をもとにした一般的な整理です。法律の解釈や具体的な事案の判断は、弁護士等の専門家や所管の機関に確認してください。
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