- 相続税の土地の評価額は、市場で売れる値段ではなく、国税庁が公表する「路線価」か「倍率」を使って計算します。
- 路線価図に数字が出ている地域は「路線価方式」、「倍率地域」と書かれた地域は「倍率方式」です。
- 建物は、固定資産税評価額と同じ額で評価します。
- 形のいびつな土地、貸している土地、マンションなどは調整が入るので、おおよその目安をつかんだら税理士に確認しましょう。
土地の評価には2つの方法がある
相続税では、土地は「宅地・田・畑・山林」などの種類ごとに評価します。評価の方法は、その土地がどの地域にあるかで決まります(国税庁No.4602)。
路線価方式
路線価が決められている地域(主に市街地)で使う。
- 道路ごとの「路線価」を使う
- 土地の形や奥行きによる補正をする
- 最後に面積をかける
倍率方式
路線価が決められていない地域(郊外など)で使う。
- 固定資産税評価額を使う
- 地域ごとの「倍率」をかける
- 評価倍率表で倍率を調べる
路線価図の調べ方
路線価図と評価倍率表は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で、誰でも無料で見られます。亡くなった年(相続開始の年)の分を見ます。たとえば令和8年分は、令和8年1月1日から12月31日までに相続・贈与で取得した財産に使います。
- 1国税庁の路線価のページを開く「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で、亡くなった年の分を選ぶ。
- 2都道府県と市区町村、町名を選ぶ土地のある場所の地図(路線価図)を開く。
- 3土地に面する道路の数字を読む数字は1㎡あたりの価額を「千円単位」で示す。
- 4「倍率地域」と書かれていたら評価倍率表へその市区町村の評価倍率表で、地目ごとの倍率を調べる。
図の読み方:「215D」とは
道路に「215D」と書いてあれば、1㎡あたりの路線価が215,000円で、借地権割合が60%という意味です。数字は千円単位、アルファベットは借地権割合を表します(国税庁「路線価図の説明」)。
| 記号 | A | B | C | D | E | F | G |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 借地権割合 | 90% | 80% | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
路線価方式の計算のしくみ
土地の評価額は、次の順で計算します。
評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率などの補正率 × 面積(㎡)
国税庁が示す例では、路線価が「300C」(1㎡あたり30万円)、奥行きが35m、面積が700㎡の土地の場合、次のようになります(国税庁「路線価図の説明」)。
- 1㎡あたり300,000円 × 0.97 = 291,000円奥行き35mに応じた「奥行価格補正率」0.97をかける。
- 土地全体291,000円 × 700㎡ = 203,700,000円面積をかけた額が、この土地の評価額(自用地の価額)。
倍率方式・建物・マンション
| 種類 | 評価の考え方 |
|---|---|
| 倍率方式の土地 | 固定資産税評価額 × 評価倍率表の倍率。固定資産税評価額は、毎年春に届く納税通知書の課税明細書か、市区町村(東京23区は都税事務所)で確認します。 |
| 家屋(建物) | 固定資産税評価額 × 1.0。評価額は固定資産税評価額と同じです。 |
| マンション | 敷地の分(敷地権の割合を乗じた土地の価額)と、建物の分(固定資産税評価額)を合計します。令和6年1月1日以後に取得した居住用のマンションは、「区分所有補正率」をかけて評価する場合があります。 |
| 貸している土地・建物 | 貸している権利の分だけ、評価額が調整されます。 |
出典:国税庁タックスアンサーNo.4602「土地家屋の評価」(令和8年4月1日現在法令等。2026年11月1日確認)、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」路線価図の説明(2026年11月1日確認)
路線価と実際の売れる値段は違う
路線価は、相続税などの計算のための評価の目安で、実際の売買の値段とは別のものです。売却を考えるときは、不動産会社の査定など、別に調べる必要があります。また、小規模宅地等の特例を使うと、一定の面積まで評価額が下がる場合があります(相続税を減らす制度)。
よくある質問
- 亡くなった年の路線価が、まだ公表されていないときは?
- 相続の申告期限の時点で最新の路線価が出ていない場合は、国税庁のページの案内や税務署で確認してください。申告は、相続開始の年分の路線価で行うのが原則です。
- 自分の土地の路線価がどこにも書かれていません。
- 路線価が定められていない道路に面している場合は、倍率方式のことが多いです。路線価図に「倍率地域」と書かれていないか確認し、評価倍率表を見てください。
- 土地の面積は何で確認しますか?
- 登記事項証明書の「地積」か、固定資産税の課税明細書で確認します。実際の面積と登記の面積が違うときは、税理士や土地家屋調査士に相談しましょう。
次にやること
- 評価した財産を使って税額を出す:相続税の計算例
- 申告の流れ:相続税の申告・納付の準備と流れ
- 不動産の名義変更:不動産の相続登記(義務化)